病院が直面するダークウェブの脅威と監視が重要な理由
病院が直面するダークウェブの脅威と監視が重要な理由 近年、医療機関へのサイバー攻撃が急増しており、病院は悪意のあるサイバー犯罪者の格好の標的となっています。サイバー攻撃は以前よりもさらに巧妙化し、患者データのセキュリティや病院の運営、患者の安全性に重大な脅威をもたらしているのです。本記事は、病院が直面しているダークウェブの脅威について注目し、そのようなリスクを軽減するための監視と事前対策の重要性を解説します。 病院を標的としたサイバー攻撃の増加 近年、多くのニュースが流れているように、国内でも病院を標的としたサイバー攻撃が増加しています。例えば、大阪急性期・総合医療センターはランサムウェア攻撃を受け電子カルテシステムが停止し、新規外来患者の受け入れや手術を停止したとのこと。 このように、サイバー攻撃によって通常の病院業務ができなくなること以外にも、サイバー犯罪者によって盗まれた機密情報は、ダークウェブに流出するリスクがあります。ダークウェブとは、インターネットの隠れた部分に存在する匿名のネットワークです。高い匿名性のため、ランサムウェアや機密情報などが売買される犯罪の温床としても知られています。 例えば、ダークウェブを使えば、病院が利用しているシステムの脆弱性や攻撃を仕掛けるランサムウェアの購入が可能です。悪意ある攻撃者が、病院の脆弱性に関する情報とランサムウェアを購入して、サイバー攻撃を仕掛けるケースは十分に考えられます。 サイバー犯罪者の目的は、多額の身代金です。セキュリティ対策が弱く、身代金を簡単に支払うがゆえに、病院を狙ったサイバー攻撃は増加しています。 病院からダークウェブへの機密情報流出がもたらすリスク 病院の機密情報がサイバー犯罪者の手に渡り、ダークウェブに流出した際に生じる主なリスクを解説します。 患者データと医療記録の売買 患者データや医療記録は、ダークウェブにおける貴重な商品であり、悪意ある第三者の間で高値で取引されます。このような機密情報の売買は、患者のプライバシーを損なうだけでなく、様々な詐欺行為を招き、経済的損失と風評被害をもたらすでしょう。 新規患者の受け入れ停止 機密情報がダークウェブに流出すると、新規患者の受け入れが停止される可能性もあります。なぜなら、サイバー犯罪者が医療記録を操作したり、重要なシステムを混乱させたりすることで、患者のケアや健康が脅かされる可能性があるためです。 顧客の信頼の低下 患者情報をはじめとした機密情報がダークウェブに流出すると、顧客の信頼が大きく低下するでしょう。「自身の個人情報が流出するかもしれない」「安全な医療を提供できないかもしれない」と考え、病院を変える患者も出るかもしれません。機密情報の流出で失った信頼を取り戻すためには、長い時間と労力がかかります。 病院を標的とするサイバー攻撃の主な種類 病院が直面するサイバー攻撃の主な種類を理解することは、効果的な対策を立てる上で重要です。ここからは、病院を標的とする主なサイバー攻撃を解説します。 ランサムウェア攻撃 ハッカーが病院システムや情報を暗号化し、アクセスを回復するために法外な身代金を要求するランサムウェア攻撃は、病院が対策しておくべきサイバー攻撃です。 奈良県のある病院では、電子カルテシステムがランサムウェアに感染し、患者1,100人分のカルテの参照ができなくなりました。 ランサムウェア攻撃を受けると、病院は機能停止に陥り、治療の遅れや手術のキャンセル、患者ケアの低下を招きます。 不正アクセス 不正アクセスもよくあるサイバー攻撃です。サイバー犯罪者は、病院ネットワークの脆弱性を悪用して不正に侵入し、データ漏洩や医療記録の操作、重要なシステムの不正改ざんなどを起こし、患者の安全や病院運営に重大なリスクをもたらす可能性があります。 東京都の医療センターでは、職員のメールが不正アクセスを受け、患者と職員約3,700名の個人情報が流出しました。 トロイの木馬