Day: June 24, 2024

なりすましメールとは?仕組みや見極めるポイント、効果的な対策を解説

なりすましメールは昔からある詐欺手法であり、自身や自社の社員が引っかかることはないと考える方は多いです。しかし、Visaが発表した調査によれば、半数近くが「自分は詐欺に引っかからない自信がある」と回答している一方、73%が要注意ポイントを見逃していたとのこと。 生成AIをはじめとする技術の発展により、なりすましメールの精度は高まっており、まさに企業の大きな脅威となっているのです。この現状を踏まえると、あらためてなりすましメールへの理解を深めなければいけません。 本記事では、なりすましメールの特徴や仕組み、見極めるポイント、事前対策などを解説します。 なりすましメールとは なりすましメールとは、信頼できる個人や企業を装って送られる詐欺メールのことです。かつては見た目や内容が明らかに不自然だったため、容易に見分けることが可能でした。 しかし、生成AIやテクノロジーの発展により、現在のなりすましメールは見た目や内容が正規のものと酷似しており、受信者が見分けるのは困難です。 なりすましメールは、単なる迷惑メールとして扱うべきではありません。1通のなりすましメールが不正アクセスやランサムウェア攻撃、機密情報の流出につながる可能性があるため、適切に対応することが重要です。 増加する背景 情報技術の急速な進化と普及が、なりすましメールの増加を後押ししていることは明らかですが、それだけではありません。社会的、技術的、さらには経済的な要因も、この現象を加速しています。 まず技術的な観点から見ると、インターネットの普及により、個人のメールアドレスやその他の個人情報が、より広範囲にわたって流通するようになり、攻撃者たちは個人情報を悪用する新たなチャンスを得たのです。加えて、メール配信技術の発展は、大量のなりすましメールを短時間で送信することを可能にし、攻撃の効率を大きく向上させています。 社会的な要因としては、電子メールが日常生活で基本的なコミュニケーションツールとして確立されたことが挙げられます。人々がメールの内容をあまり疑わずに開いてしまうことが多いため、攻撃者は巧妙に偽装したメールで簡単に信頼を得ることができます。 経済的な要因もまた、なりすましメールの増加を助長しています。攻撃者は個人情報を盗み出し、それを悪用することで、大きな利益を得ているのです。たとえば、クレジットカード情報や銀行口座情報、企業の機密情報はダークウェブで高価で取引されます。 なりすましメールの仕組み なりすましメールの仕組みを理解することで、適切に対処できるようになります。ここでは、その作成から送信、受信者の反応に至るまでのステップを詳しく説明します。 メールの作成 なりすましメールでは、信頼できる送信元を巧みに偽装することから始まります。有名企業や銀行、個人のメールアドレスを模倣し、わずかな違いしか見分けられないほど、メールアドレスは正規のものに酷似しているのです。 また、メールの内容も実際のものと見分けがつかないように作成されます。企業のロゴや署名、文体など、細部にわたって正規のメールと同じ内容となります。そうすることで、受信者の警戒心を効果的に解けるのです。 メールの送信 なりすましメールの文面が完成したら、攻撃者は自動化ツールを使い、一度に数千から数万通のメールを送信するのです。また、不正に入手したメーリングリストを利用して、特定の企業や業界などターゲットを絞った攻撃も行われます。 受信者の反応 受信者がメールに含まれるリンクや添付ファイルをクリックすれば、マルウェアのインストールや機密情報の盗難につながります。受信者が無意識のうちに攻撃者の意図通りの行動をとることで、なりすましメールは成功するのです。 なりすましメールとフィッシング詐欺の違い フィッシング詐欺は、なりすましメールと類似点が多いものの、主な違いはその目的にあります。 フィッシング詐欺は、受信者から直接的に個人情報やログイン情報を騙し取ることを目的としています。そのため、オンラインバンキングのパスワード、クレジットカード番号、社会保障番号、企業ツールのログイン情報など、具体的な情報の入力を求めるのです。 フィッシング攻撃では、企業を装ったメールが送られ、リンク先の偽のウェブサイトで情報入力するように誘導されます。偽サイトもまた、見た目が本物と酷似しており、ユーザーが情報を入力することで直接的にデータが盗まれる仕組みです。

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IoTを狙ったサイバー攻撃の事例5選と実例から学ぶ対策ポイント

現代の製造業はIoT技術によって革新が進んでいますが、これに伴うリスクも無視できません。企業が使用する無数のスマートデバイスは、新たなサイバー攻撃の温床となっています。 国立情報学研究所の最新研究によると、IoTデバイスへのサイバー攻撃が急増しており、これを軽視するわけにはいきません。 それでは、サイバー犯罪者はどのようにIoTデバイスにサイバー攻撃を仕掛け、企業はどのような被害を受けているのでしょうか。本記事では、IoTを狙ったサイバー攻撃の事例と事例から学ぶ対策ポイントを解説します。 IoTを狙ったサイバー攻撃の事例5選 さっそくですが、IoTを狙ったサイバー攻撃の事例を見ていきましょう。 1.簡単なパスワードがきっかけでTwitterやNetflixが停止 2016年に起きた「ミライボットネット」は、「ミライ」と呼ばれるコンピューターウイルスが、セキュリティ対策が不十分なIoTデバイスに感染を広げていきました。ウイルスは、デバイスに設定されている工場出荷時の簡単なパスワードを利用して、不正アクセスすることで感染を拡大させたのです。 一度感染すると、そのデバイスはウイルスの指示に従って動作するようになります。攻撃者は、ウイルス感染したデバイスに対し、大手サイトに向けて大量のアクセスを送り付けるという「DDoS攻撃」を指示しました。結果、TwitterやNetflix、CNNなどの有名サイトがアクセスできなくなる被害が出たのです。 攻撃の規模が非常に大きかったため、世界中で大きな話題となりました。 2.セキュリティカメラの侵害事例 リング社が提供するセキュリティカメラは、家庭の防犯を目的として多くの人に利用されています。しかし、ハッカーがリングカメラに不正にアクセスし、大きな問題となった事件が起きました。 ハッカーはリングカメラに設定されていた簡単なパスワードを当ててアクセスに成功。工場出荷時の状態では、高度なパスワードが設定されていないなど、セキュリティ対策が不十分だったのです。 ハッカーは侵入に成功すると、リングカメラに内蔵されているカメラとマイク、スピーカーを不正に操作しました。具体的には、リングカメラを通して家族の様子を盗み見たり、マイクとスピーカーから声をかけて脅したりする行為に及びました。 この事件は、家庭で使われるIoTデバイスのセキュリティ対策の重要性を改めて認識させるものとなりました。デバイスにはきちんとしたパスワードを設定することはもちろん、メーカー側でも製品の初期設定で高いセキュリティを確保することが求められます。 3.IoTデバイスを破壊するマルウェア 2019年に発見されたSILEXマルウェアは、IoTデバイスに特化した破壊的な攻撃を行うマルウェアでした。このマルウェアは、IoTデバイスに設定されている工場出荷時の簡単なパスワードを当ててアクセスし、感染を広げていきました。 一度感染すると、そのデバイスの重要なデータを消去したり、ネットワーク設定を壊したりと、デバイスが全く使えなくなるよう破壊します。さらに、ファームウェア(デバイスの基本ソフト)まで消去されるため、修理するのが非常に難しい深刻な被害が出ました。 この事件は、IoTデバイスのセキュリティ対策が不十分だと、このようなひどい攻撃を受ける危険性があることを物語っています。 4.システムの脆弱性を狙った攻撃 Nortek社が提供するアクセス制御システムは、企業やビル、施設の入退室を管理するために使用されています。しかし、その中の一つの製品に、大きな脆弱性(セキュリティ上の穴)が見つかってしまいました。 通常はパスワードなどで認証を行う必要がありますが、この製品は認証をせずに不正にアクセスができました。つまり、誰でもインターネット経由で製品を自在に操作できてしまう危険な状態だったのです。 実際に、ハッカーはこの脆弱性を狙い、アクセス制御システムを容易に乗っ取りました。ハッカーはリモートから製品をコントロールし、施設の入口のドアの開閉を勝手に操作したり、ウイルスを仕込んだり、サービスを妨害する攻撃を実行したりしたのです。 5.医療機器を狙ったサイバー攻撃 フィリップスは医療機器の大手メーカーですが、同社の製品にハードコーディングされた固定のパスワードが設定されていたという深刻な脆弱性が発覚しました。ハードコーディングされたパスワードとは、ソフトウェア自体に直接組み込まれた変更できないパスワードのことです。 この種のパスワードは一度悪意のある者に知られてしまえば、製品が不正にアクセスされてしまう危険性があります。医療機器の場合、患者の個人情報や健康情報がハッカーに渡ることで、プライバシーが深く侵害されるだけでなく、データが改ざんされることで、患者の命に関わるリスクさえ生じかねません。

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